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さあ、羞恥プレイの時間だ。

どうもお久しぶりです、ジャンク堂のあざとい担当のマナカです。

前回の記事を正直戦々恐々とした気持ちで載せた訳なのですけれど、なんと拍手をいただきまして。

なんといいますか至福の悦び(なんで最初の変換で出やがる)……喜びでした。いやまあ、きっと僕の身近な人たちなのかなーとか思いつつ怖いので確認はしてないのですが。

ある程度好評もいただいたので、方向性としてはアレでいいんだと自分で納得しつつこの記事は続けていきたいと思っています。

とか言いましたが今回は前回とガラッと雰囲気を変えて、オリジナルSSの投稿とかしちゃいます。

顔見せをしながらのこの行為がどれほどのアレさか分かる人たちは今頃「アイタタタ;」ってなってる頃だとは思いますが、一応解説の方を。

SSというのは、ショート・ストーリーもしくはショート・ショートと呼ばれるもので、ものすごく短いお話のことを指します。

過去何回か僕が上げてますね、はい、どうですかイタいでしょう?(ぇ

ただまあ、ブログ書くぞってなったときに僕にできることってなんだろうって考えた結果出てきたのがこれだったので。

もう今更グダグダは言いません、できるだけ皆さんに楽しいと思って読んでもらえる物を書いて行こうと思います。

確認ですが、僕の「もう、そういうのでいいでしょう」は僕が常日頃頭の中にある妄想を解き放つ場なので、こういうことをする回もたまにあると思ってください。

ただ、基本的にはジャンクで過去に公演した作品の二次創作か、僕がこの記事で扱った「関係性」を元にしたものを書きますので。

僕の理解、認識を皆様にも共有していただいた上で楽しんでいただけるものが書けていたらなと思う次第でございます。

というわけで今回のオリジナルSSの題材はこちら!

「身長差」

でございます! 前回の記事を読んだ上でこちらも呼んでいただけたら、ちょこっとだけ更に楽しみ方も増えるかもしれません。

という訳で前置きもそこそこにさくっといきましょう(以下、それなりに長い痛い物語です。おk!な人のみどうぞ)



ぎゃああああああああああああああ!!はずかしいよおおおおおおおおおお!!(別れの挨拶)











 皆川くんはうちのクラスで一番背の高い男の子だ。
 その身長、実に181cm。
 やっぱりといったら変かもしれないけれど、バスケ部に所属していて、先輩からも次期部長はこいつで確定だなと期待の目を向けられているらしい。
 顔もそれなりに……いや、結構? カッコイイ。
 これは私だけじゃなくて周りの子達も何人か言ってたから間違いないと思う……うん、カッコイイ。
 性格はとっつきやすいけどフラフラしてる訳じゃなくて、彼はは色んなところを見てて気遣いもできるやつだって先生たちからの評判もいい。
 すごくすごく安直な言い方をあえてしてしまうなら、優しい。
 ……そんなだから女子からの人気も割りとあるっぽくて、うちの体育館でバスケ部の他校との練習試合があると、彼目当てで行ってみようかなと考える女子も少なくないとかなんとか。
 バレンタインでも義理か本命かはわかんないけど二桁は確実に行ってたと思う。
 皆川くんの中学からの友達の笠松くんは「殺してえ(笑)」って言ってた。こわい。

 とにかく、皆川くんというのはそんな人である。
 クラスで一番背が高くて、バスケ部期待の二年生で、性格も悪くなくて、カッコイイらしくて、あとついでに得意科目は数学で苦手科目は英語。

 …………そして、私の恋人、というものであるらしい。








『身長差』








「こびとー、食堂いこー」

 昼休み開始のベルが鳴り止み、授業中の静寂から一転してガヤガヤと賑やかな雰囲気へと変わった教室で、かなちゃんが私の頭の上から全体重をかけて乗っかってきながらそんな事を言ってきた。

「かなちゃん重い……」
「こ、こびと……なぜ私が最近太ったことを知っている? 」
「いや知らない」

 私の身長でかなちゃんほど身長ある人に乗っかられたら重いと言うなという方が無理だと思うのだ。
 子供が親におんぶしてって言われてそれが出来ないっていうのと一緒だろう…………あ、なんか自分でやった例えなのに凹んだ。
 すごく極端な例えをしてしまったけれど、別に私たち二人はそこまで身長が離れてる訳じゃない。
 まあ、並んで歩いてたら見知らぬ人が「おっ」となる程度かなとは思うけれど、それでも普通に同学年の友達には見えるだろう。
 ……それから、また自分が凹むことを承知の上で補足すると、決してかなちゃんの身長が大きすぎるとかそんなでは決してない。

「ん、どしたこびと」
「ううん、なんでもない」

 『こびと』。
 誰が言い出したか分からないが中学からの私のあだ名である。
 小森ひとみ、という名前で身長が低いからこびと……どうして中学の時の子供ってこういう変なこと考えつく知恵だけあるんだろうと、今はもう顔も思い出せない中学の同級生に恨み節を唱えることは最近でもたまにある。
 閑話休題。

 そう、私こと小森ひとみは身長が低い。
 数字にすると148cm。中学一年生の身体測定を最後にこの数字のままぴたりとも動かなくなってしまった。
 まるで身体測定とちょうど同時期につけられた先ほどのこびとというあだ名が何かしらの呪いでもって、私の成長を妨げているのではと、そうでも思わないとやっていられないぐらい何も成長していないのである。
 それであだ名が『こびと』だというのだから、周りから実に的を射たあだ名だと随分からかわれた物である。
 まあ、いじめとかそういうレベルではまったくなかったので、私が毎日牛乳を欠かさず飲むようになったという変化以外は別段何も悩むところなどなかったのだが……うん、自分で言うのもなんだけれど結構ポジティブというか、変に悩んで考え込んだりはしないのだ……しないのだが
 そんなだったはずの私が、最近悩んでいることがある。

「今日は皆川くん、バスケ部の昼練らしいじゃん、久しぶりに一緒に食べようー」
「……うん」

 悩み事、それは他ならぬ、世間一般でいうところの彼氏のことについてである。








 告白は皆川くんの方からだった。
 いやまあ、皆川くんとは去年も同じクラスだったし、一度だけ席が隣になったことがあってからは普通に仲良く喋ってたと思う。
 でも正直、それを伝えられたときは驚いたというか何が怒ったのか分からなかったというか
 驚きすぎて、告白という一世一代の素敵乙女イベントに対する第一声が「うぇえん?」とかいう謎のうめき声になってしまった事は一刻も早く忘れたい黒歴史である。
 ……まあその、なんだろう、実際私も皆川くんのことは好きでしたよ。ハイ。認めますとも。告白OKして家に帰った後もしばらくはベッドの上で枕を殴り続けましたさ。
 ただ……いや、不満とかではなく、先ほども言ったのだが、本当に本当に驚きすぎて、その時は驚きとか疑問とか信じられない気持ちの方が大きくてですね。
 率直に、率直に言うと、私は確かに皆川くんが好きだったけど、この先付き合えるとか付き合ったときどうしようとかいうヴィジョンなんてこれっぽっちも自分の中には無かったのである。
 だってその……不釣合い、ではないか、誰がどう見たって。
 皆川くんは背が高くて顔もよくて性格もいい、完璧とまでは言わなくても、それこそ女子に人気があるのなんて当たり前のように納得できるくらいの人だ。
 対して私は……勉強ができないって訳じゃない。勉強自体が嫌いな訳でもないからクラスの中では上から数えた方が早い程度にはできるつもりだ。
 でもじゃあ他は? 顔……少なくとも美人なんていわれた事は生まれてこの方一度もない。(親戚のおばちゃんの「可愛い」とか「美人さん」はノーカンだ。社交辞令でしかない。)
 体育はハッキリ言えば嫌いだ。走るのも飛ぶのも出来なさすぎて、毎週体育の時間が来ると、この小一時間の間だけインフルエンザにかかれないかと思うくらい。
 性格…………は知らんです。まあ自分で自分の性格がいいとか言わない程度には悪くはないつもりだけれど。
 結局のところ私が何を言いたいのか、何を悩んでるのかっていうと。
 私は皆川君という彼氏に対して、ちゃんと釣り合いの取れている彼女でいられるのかどうか、ということなのだ。
 そりゃあ、人の価値が見た目とか勉強とかそんなんで全部決まるって思ってるほど子供でもないつもりなので、私がいちいち気にしすぎているというのも分かっているのだが。
 すごくシンプルな問題として……皆川くんの彼女でい続ける上で、私は皆川くんに好きでい続けてもらえるような彼女である自信などないのである。
 これが私が皆川くんの告白を聞いたときに困惑してしまった理由……そして、今も尚悩み続けている理由だ。








「皆川くんってロリコンなのかな」

 ほらこういうこと聞いてくるやついるもの。友達なのに聞いてくるやついるもの。
 信じられます奥さん? この子これでも私の友達なんですのよ?

「……今ので私がうどん喉に詰まらせて死んでたら、かなちゃん殺人の罪で法廷に連れてかれて負けてたよ」
「いやいや、結構純粋な疑問としてさ」

 純粋な疑問としてのロリコンってなんなのだ。ロリコンは純粋なのか。そういう哲学的な問いはどうか私以外の人にしてください。

「……さあ、皆川くんに女性の好みとか聞いたことないからわかんない」

 聞いてもロリコンを自称はしないと思うが。

「んー、いやね、最近ずっと考えてることがあってさあ」
「なに」
「皆川くんってこびとのどこ好きになったんだろうって」

 私は時々、中学時代からの友人である目の前の女の子にキツめの右フックを食らわせてやりたくなる時がある。
 ちなみに今がその『時々』だ。

「いやいやちょっとタンマタンマ! そういう意味じゃなく!」

 身体は動かしてなかったけれど、相当私の目が怖かったのだろう。
 かなちゃんが流石に失言が過ぎたとばかりに手をぶんぶん振ってフォローに入ってきた。
 どうでもいいけどミソカツ定食を食べてる途中の箸を持って手をぶんぶんしない方がいいと思う。

「私は、私はね? こびとのいいところたくさん知ってるよ? 可愛いしちっちゃいし勉強教えてくれる優しいところあるしちっちゃいし一緒にいると楽しいし」
「ちっちゃい二回言ったね」
「別にこびとの魅力に疑問がある訳でも、皆川くんがこびとを好きだってことに文句がある訳でもなくて、単純に皆川くんはこびとのどこに惚れたのかなっていう純粋な興味だよ?」

 ……それはまあ、私も常々疑問に思いつつ、でも彼本人に聞くなんてとても憚られて出来ない案件ではある。

「こびとってさ、結構人見知りじゃん? そりゃ私ぐらい仲良くなったらそんなことないと思うけどさ、他の人がこびとのそういういい所に気づくのって大変だと思うんだよね。じゃないといつも仏頂面してるちっちゃい子ってイメージだもん」

 この友人は私を褒めたいのか貶したいのかはっきりしてほしい。
 ただ、彼女の言ったことは正にその通りで、私が皆川くんと付き合うにあたり、彼に釣り合っていないのではないかと感じる大きな要素のひとつがそれなのだ。

 「人見知り」

 それも割りと軽くないレベルの人見知りで、これが原因で一度クラスメイトと気まずくなったこともある。
 まず第一にうまく笑うことができない。鏡の前で何度か練習したし、かなちゃんにも付き合ってもらって真剣になんとかしようとしたこともあったのだが、効果はなかった。
 常日頃の私の顔が、いわゆる無感情な無表情で固定されてしまっているためか、どうにも私の表情筋はよほどのことがないと笑うという行為に踏み切ってくれないらしい。
 別に笑いたくない訳でも、イラついている訳でも、嫌なことがあった訳でもないのだが、よく昔から私は「疲れてる?」とか「怒ってる?」とか聞かれることが多かったのである。
 だからというべきか、皆川くんが私のどこを好きだと思って告白してくれたのか、付き合って三ヶ月になる今も、私はずっとそれが分からないでいる。
 そして、そんなことを考える自分が、あの人の……彼女でいてもいいのだろうかとも。

「まあ、私はアレだね」

 ここ最近、らしくないなと思いつつも繰り返してしまっているマイナス思考にまたも私が陥りかけた時、かなちゃんが今度は得意げに箸を天井に向けながらドヤ顔でこう言った。

「逆に、皆川くんが『好きなところなんてよく分かんない』って言ってくれた方がスッキリするけどね」
「……どゆこと?」

 ジト目でうどんをすすりながら聞く。

「いやね、さっきも言ったとおり、私はもう長い付き合いだからこびとのいいとこ知ってるけど、皆川くんは私ほどにはきっとこびとのことを知らないじゃない?」
「うん」

 それは絶対にそうだと思う。かなちゃんに対してほど、私はまだ皆川くんに自分を解放できてないと思うし。
 だから怖い、というのもあるのだが。

「けど、そういう一個一個の要素とかよりさ、『なんか分かんないけどこびとの事好きだーっ』くらい言ってくれた方が、友人の私としては任せてもいいかなって気になる訳ですよ」

 まず皆川くんは私をこびととは呼ばないし、なぜかなちゃんに任されないといけないのだろうと思わずにはいられなかったが、そこはぐっと飲み込んだ。

「なんで? むしろ怖くない? どこが好きなのって聞いてその答えが返ってこなかったらさ」

 私はその、皆川くんが初めて付き合う相手だからよく分からないのだが、そういうものなのではないのだろうか……。
 相手が自分のどこを好きになったか分からないと、不安だし、知りたいと思ってしまうものなのでは……。

「んー、じゃあさ、こびとは皆川くんのどこが好きなのん?」
「んえ」
「んえ、て……そりゃあまあ皆川くんはスタイルよくてスポーツできて性格よくてイケメンですよ。けどさ、こびとって皆川くんのそういうところが好きなの?」

 ……身長、は、いや別にそこが特別好きとかじゃない。ていうか私が付き合おうと思ったらどっちかというと低い相手の方が私も楽だと思うし。
 スポーツ……さっきも言ったけど、私は体育苦手だから、どうせならそういうのを共有できる相手の方がいいな。
 性格よくてイケメン…………正直そのへんはよく分からない、確かに皆川くんはカッコイイとは思うけど、それについて深く考えたことなんて今まで一度もなかった。
 …………あれ?

「私、皆川くんのどこが好きなんだろ」
「ね、そうなるでしょ」
「私、皆川くんのこと好きじゃないのかな」
「いやそれは飛びすぎだって、やめてよ私のせいで破局とか」

 いや、好きなのだ。好きなのは分かってる。今更かなちゃんに何を言われたところで自分が彼を好きなことに疑問なんて生じるはずはない。
 ないのだが……あれ、あれ、あれ?
 あ………………ああ、そうか。

(ちょっと、分かったかもしれない)

 こういうのが『好き』ってことなのだろうか。

「なんか……そうかもね」
「ん、なにが?」
「どこが好きかなんて分からない方がいいかもしれないって話」

 私のぼんやりとした発言に対して、かなちゃんはこの日一番のドヤ顔をしてみせた。

「そうでしょうそうでしょう。まあ恋で不安になった時はいつでもこのお姉さんに聞きなさい、いくらでも相談乗ってあげるから」
「うん、ありがとう、彼氏いない歴=年齢さん」
「ショックで彼氏いない歴=享年になることだったよ、今」

 まあ、でも、なんやかんやで私が一番頼りにしてる友達ってこの子なんだろうなって、こういう話を二人だけでしてると思う。
 かなちゃんにいい相手が見つかったとき、私もこういう相談に乗ってあげられたらいいなと思うくらいには、やっぱり彼女は友人だ。
 時々しばきたいけど。

「けど……あれだね」
「ん、どったのこびと」
「自分の気持ちはそういうのでも、だからこそ他の人はどうなんだろうっていうのは、やっぱり気になっちゃうかも」

 自分の気持ちがそういう不確かなものだからこそ、なら相手は、自分に対してどういう気持ちを持っているのだろう。
 私の中に、何を見て私の隣にいてくれているのだろう……それを、探りたくなってしまう。

「あー、まあそういうもんかもねえ、さっきも言ったけど、皆川くんにこびとのどこが好きって聞いて、誰でも見て分かるようなことしか出てこなかったら私ゃちょっと心配になりそうだよ」
「それは余計なお世話だけどね」
「分かってるけどさあ」
「……そういうのがさ、分かればいいのにね」
「なにが?」
「『分からない気持ち』が分かればいいのにって」
「あー……あーあー、なるほどね」

 別に、さっき言ってたみたいなどこが好きっていうのを具体的に知りたい訳じゃない。
 でも代わりに、今私の中で皆川くんに対してあるような『よく分からない気持ち』……そういうのが皆川くんの中に、ひいては好きな人の中にあるって分かれば。
 ある程度自分はその人の傍にいてもいいのかなって自信もつくかもしれないのに。

「でも、そういうのって結構単純なもんだったりするかもよ」
「え?」

 いい加減にミソカツ定食を食べ終えたかなちゃんが皿の上に箸を置いて、さっきのドヤ顔とは打って変わって、彼女にはらしからぬ真面目な表情で応えた。(ちなみに私は彼女の定食よりもずっと少ないうどんをまだ食べ切れていない、いい加減に伸びてきているころだろう。)

「結局さ、そういうのって、理由とかなしで誰かの傍にいたいって気持ちだと思うのね」
「理由……なし?」
「そ、さっき言ったみたいな身長とか、顔とか、お互いの状況とか、そういうの抜きにして一緒にいたいって気持ちなんじゃない?」
「うん……うーん」

 なんとなく分からなくは無い……ような気はするけど。

「じゃあさ、例えばこびとは、今日皆川くんが昼練で一緒にご飯食べられなかった訳だけど、それはどう思った?」
「どうって……」
「どう」
「…………残念、でした、けど」
「それや!」
「どれや」

 かなちゃんの悪い癖なんだと思うけど自分のペースに入ったら相手もそのペースに乗ってきてくれてるつもりで話すのはよくないことだと思う。
 だから私がその都度その都度で「待って、今のどういうこと?」って聞きなおさないといけなくなるのだ。

「こびとはさ、最近悩んでるよね、皆川くんと付き合うのに、色々と自分に自信がなくてさ」
「うん」

 それは何度かかなちゃんには話したから、今更ハッキリ事実を言われたところでうろたえることはしない。少しだけ照れくさくはあるけれど。

「でも、今日一緒にお昼ご飯食べられなかったのは残念だった、一緒に食べたかったと思うんだよね」
「……うん」
「皆川くんが普通に教室で食べてたらどうしたいと思った?」
「…………一緒に食べたいって思った」
「それはアレじゃん、自分が気にしてたはずのコンプレックスとか負い目とか、全部無視して一緒にいたいって思ったってことだよね」
「一緒にいたい……ってこと」

 ハッとした。
 私は悩んでたのに、悩んでたはずなのに、皆川くんと一緒にいる私がこんなのでもいいのかなって悩んでいた『のに』……
 いや、そもそも……どうして悩んでた? 例えばの仮定だけれど、私が皆川くんのことをそれほど好きじゃなければ、きっとこんなに悩むことはなかったのではないだろうか。
 それはつまり…………。

「小森」

 その声でそう呼びかけられた私が俯かせていた首を斜め上に向けるまでの反応速度たるや、最新の光学センサーも真っ青といったところだっただろう。
 ビーチフラッグス全国チャンプばりの勢いで私はその声が聞こえた方を見た。

「おー、皆川くんお疲れっす、昼練終わり?」
「おう、教室戻ろうとしたら二人がいるのが見えてさ、今日は学食なんだな」

 ドキリとして、皆川くんと目が合う瞬間にまた顔を俯かせてしまった。何をやっているのだ私。

『一緒にいたい……ってこと』

 先ほど、自分で口に出した言葉が頭の中を反芻する。
 好きってつまりはどういうことなのか、それを友人と考えた末に出た『ソレ』が、結論が……

『教室戻ろうとしたら二人がいるのが見えてさ』

 違う違う違う違う違う。
 皆川くんは別になんの気なしにそういっただけ、教室戻ろうとしたらクラスメイトが二人いたからちょっと寄ってみただけ。
 いちいち私がなんでとかそういうの気にするほどのことじゃ全然なくってなんていうかそのえっとだからあのなんていうか。

「小森?」
「は、はいっ」

 ダメだ、やっぱり顔が見られない。本当は見たいのに。いや何言ってんだ私。

「なんか、耳赤いぞ、大丈夫か?」
「そ、その……う、うどんが、熱くて」
「? ふうん」

 いやいやいや、どう見てもうどん冷めてるし伸びてますから。どう見ても買ってから数十分は経過したうどんですから。
 バカなんですか私。あーもう絶対変な子だと思われた元からそうかもしれないけど更に変な子だと思われた。

「ありゃ、皆川くんは今日はパン?」
「ああ、練習思ったよか伸びちゃってさ、ガッツリ食いたかったけど、もうそんな時間なさそうだし、食いながら帰ろうと思って」
「……え」

 皆川くんのその言葉で、食堂にきて初めて時計を見る。授業開始8……いや、今7分前になろうというところだった。
 そんなにも長く話したり考え込んだりしていたのか、そりゃうどんも冷めて伸びるというものだ。

「やっば! 私次の授業で提出の宿題まだもっさんに写させてもらってない!」
「もう諦めた方がよくね?」
「いやいや! 今日絶対私当てられるって! ごめんこびと、私さき帰ってるから!」
「えっ」

 待って、と言おうとして顔を上げたときにはもう既にかなちゃんの姿はなかった。電光石火とはまさにこのことだろう。

「…………」
「…………」

 なんとなく無言。

「行くか、小森」
「え、あ、うん」

 まだちょっとだけ残っていたけれど、流石にもう食べる時間もないので食堂のおばちゃんにトレーごとうどんを返してきた。ごめん、うどん。
 こういう風に、お互い無言になると、いつも最初に話しかけてきてくれるのは皆川くんの方。
 私が困った顔をすると、皆川君も少し困った顔をして、でも笑って何かを話してくれる。
 それが……申し訳ないって思いつつも、少し嬉しい。

「あいつっていつもあんなだな、中学の頃からそうなのか?」
「かなちゃんは……うん、中学の時からいつも落ち着き無い」
「あはは、それじゃ友人やるのも大変だな、小森」
「うん、たいへん」

 授業開始五分前の校舎の廊下は、早めに次の教室に向かおうとするもの、ギリギリまで休み時間を満喫してやろうというもの、様々な人で溢れている。
 その中を皆川くんがまるでその大きな身体で海を切るモーゼのように、その少し後ろをまるで従者のように私はついて歩いていた。
 やっぱり顔が上げられない。違うの皆川くん、別に体調が悪いわけでも機嫌が悪い訳でもないんだけどなんていうかその
 ……ああ、やっぱり皆川くん脚長いなあ、それに比べて私の脚の短さよ……っていやそういうことでもなくああもう。

(……ん)

 顔を落として歩いていたからたった今はじめて気づいたことなのだが、皆川くんがなんだかとても窮屈に歩いている。
 いや、それはまあ少し走れば人とぶつかりそうな廊下なのだから、彼ほどの身長になればある程度窮屈になるのはやむを得ないのだろうが
 それにしたって、いくらなんでも一歩一歩で進む距離……歩幅が狭すぎやしないだろうかと思う。
 それじゃあ、皆川くんの身長だと歯がゆさすら感じるかもしれないくらいの速さでしか歩けなくなるだろうに、私のようなチビではないのだからもっと……

「っ!」

 そこではたと気づいて、また顔の温度が上がるのが分かった。
 同時に、自分の頭に浮かんでしまった疑問が、喉元までせりあがってきているのを感じる。
 いや、疑問というよりは確認というべきか、とにもかくにも、私はその質問を、彼にしたくてたまらなくなってしまった。
 また今度でいいだろう。だって今日は変なところしか彼に見せられていないぞ。もっと変な女だと思われるぞ。それでもいいのか?
 でも聞きたい。でも聞きたい。でも聞きたいっ。

「み、皆川くん……」

 その問いを投げかけることによって、ようやく私は顔を上げることができた。
 今日初めてといっていいくらいに、彼とはっきり目線が合う。
 この通りの身長差なので、私は見上げるように、彼は見下ろすようにという当然の構図ができてしまうのだが。

「皆川くんは、私と歩いてて……疲れない?」

 随分と遠まわしな聞き方になったなと今にして思う。
 本当に聞きたかったのはもっと直接的なことだったりもしたのだが、それはまあやっぱり聞くことはできなかったのだろうなとも。
 そんな、私の下手をすれば自分でも質問の意図を見失ってしまいそうな言葉に対して、彼は

「ん、なんで?」

 心底、分からないという風に少し微笑んで応えた。

「っ~~~! な、なんでもない……です」
「えっ、なんだよ」

 ああ、また俯いてしまった。今日何度目だ。
 だって、顔など見れないのだ。恥ずかしさとか申し訳なさとか……嬉しさとかそういうのがごちゃごちゃになりすぎててもう自分でもよくわからない。
 だから顔を伏せる。伏せた先で『私の歩幅に合うようにゆっくり歩いてくれてる皆川くんの脚』が見えて、カウンターを喰らった。あああ、どこに顔を向ければいいのだろう。

『ん、なんで?』

 またリフレインする。
 私と一緒に歩くのが、面倒だったり、疲れたりしないかという意図を込めたその問いに対して……まるでそんな事を考えたことがないとでも言うようなハッキリと簡潔すぎる答え。

(ああ、もう)

 こんなことではまたかなちゃんにあれこれ余計なことを言われてしまうではないか。
 
「どうしたのこびと、ニヤニヤしちゃって、なんかいいことでもあった?」

 ホラ、私の今のしまりのない顔を見られて、言われる言葉まで完全に脳内再生できてしまう。
 くそ、参ったなあ。

 私は私の友人に対してどんな報復をくれてやろうかと考えながら、もう少しで授業の開始ベルが鳴り響くであろう廊下を歩いた。
 そんな、なんでもないようなことを考えておかないと、一緒に歩いている彼のことしか、考えられなくなりそうだったからである。








終。
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