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カモS Story.7 【そう思うことにしておく】

意外と早く次が回って来ましたね

どうも、今回もカモフラSS更新です。

今回は以前に頂きました。

狩集さん と 大澄ちゃん のリクエストを合わせて一つの作品にいたしました。

もし興味とお時間がある方はよければ読んでやって下さいな。 (。-_-。)




以下、留意点です。

・カモフラの二次創作SSです。苦手な方は全力で回避を。

・時系列は名取の正体暴露した直後くらいになります。
以前に上げた吊&名取SSとほぼ同タイミングと考えて下さい。

・基盤となっているイメージはAの星村さんが演じられた狩集さんと
しろさんの演じられた大澄ちゃんです。

・閲覧の際は、読者様ご自身のイメージや理想を著しく崩す可能性がございます。そちらをご承知の上で先にお進みください。










俺は優しくない人間だから

だからこの仕事が出来るし

これからも、続けられると思ったのだ。






「マスター、いつものやつお願い」

「はい」

別にカッコをつけてバーを選んでいる訳では無い。

普段の工作の中でそういうキャラを演じていることは自覚しているし

実際にそれがターゲットには有効な事が多いから自分としてもそれをやめるつもりはないが

なにも四六時中そういう振る舞いをしている訳でも、増してやそれをアイデンティティとしているつもりもない。

いまも昔も言ってしまえば色を売ることを生業にはしているが、別にナルシストという訳ではないのだ自分は

むしろ、どちらかといえば自分の性質は中年のオッサンのソレに近いものであると自覚しているし

それを自覚出来ているからこそ、こんな胡散臭い仕事をそれなりに長く続けていられるとも思っている。

まあ結局何が言いたいのかと言えば別に自分こと狩集鉄哉はバーが好きでも自分に似合ってるなどとはこれっぽっちも思ってなどいないということである。

あえて言うなら大衆食堂とか居酒屋とかそういう所の方が好みである。

繰り返すように、確かに普段はどちらかといえばキザ系で売っているが

そのへんを素だと勘違いされるのは狩集的には中々に度し難いものがあり、工作員の同僚たちとも時々口論になるものだ。

以前吊に「狩集ってアレやろ?バラの花びら浮かべた風呂に浸かってるんやろ?」とか真顔で言われた時はこのスーパーサイヤ女どうしてやろうかと思ったものだ。

まあ、それは関係のない話。

果たして何故にソレを自覚している狩集が好きでも似合ってもいないバーに来ているのかというと

「今夜はそういう気分だから」であった。


「あー……モヤッとすんなー、もう」


数時間前の事を追憶する。

今回の依頼者である黒村智さんの真実。

それらを全て裏で操っていたあの白金という気味の悪い医者と社長の関係。

久しぶりに顔見たと思ったらカスすぎて目も当てられなかったベテラン工作員(笑)の名取。

そして、今回の依頼が行き着く最終的な決着。


「あー、くそ」


それなりの人数の女性の唇を奪ってきた狩集のそれが派手にカウンターに沈む。

少し頭も打ったが、そんな痛みも気にならない程度には今の狩集の心は穏やかとは言えなかった。


(……しゃーない。しゃーないんやけどなー)


事務所を出てから店に入るまで、そして入ってからも耐えず繰り返している心中の呟きをもう一度こぼす。

そう。分かっているのだ。

自分たちがこんな風に気を病んだところで何も変わらないのだからどうしようもない。

仕事は既に九割がた完遂され、あとはあのカスがトドメを刺すだけ。

自分たちは万が一何かがあった時のフォロー待機。楽な仕事だ。

もう自分たちにはやらねばならないことも、やれることも残っていない。

分かって、いる。


「……はあ」


ため息の数だけ幸せを逃すというがそれなら明日から暫くは大殺界だなとかどうでもいい事を思う。

いや、恐らくは自分だけでなくあの場にいた工作員ほぼ全員がこんな感じだろうから

今現在の事務所の運気は最低かもしれない。

しばらくは営業を停止するのが好ましいのではないだろうか。


「マスター、スクリューパイルドライバーひとつ」

「は……はい?」

「はい?」


暗に「明日からちょっとの間、仕事行きたくねー」という小学生じみた事を考えていた狩集の隣に突然、訳の分からない事をほざく声がカットインする。

一瞬、肩がビクッとした。

何故なら、その声が常日頃から結構に聞き覚えのあるモノだったからである。

ただ、例えばこれが工藤とか印路さんとか吊だったらそこまででも無かったのだろうが

どっちかというと、今あんまり会いたくない感じのヤツの声だったから、狩集はその声がした方向に顔を向ける際、冷や汗を流すことを止められなかった。


「…………大澄」

「オッス、狩集くん」


変人揃いの事務所の中に置いて尚、メンバー全員から「どう扱えばいいか分からない子」という
ある意味尊敬に値する評価を欲しいままにしている彼女

大澄絵梨がそこにいたのである。






カモS story.7

【そう思うことにしておく】






「……なにしてんの?」


当然の疑問と言えるだろう。

狩集は自分がこのバーを所謂行きつけにしていることを確かに事務所のメンバー何人かに話はしたし、実際に引き連れて来た事もある。

しかし大澄は一緒に来た事はおろか、自分がこの場所を利用していることすら教えていない

元々事務所メンバーの中でもお互いに進んで話しかけに行く間柄という訳でもないので当然といえば当然なのだが

故に、なぜ大澄がここにいるのかが余計に分からない。


「狩集くんがここ入っていくの見えたから」

「お、おお……で?」

「で?」

「……え、終わり?」


まるで理由になっていない理由に混乱する。

疲れていたこともあってか脳が冷静な判断を下してくれない。

そもそも大澄が何を思って行動してるかなど事務所メンバーの大半が測りかねているのだから

こんなコンディションの時にそれを読めというのが無理な話なのである。


「狩集くん、スクリューパイルドライバーって無いの?」

「……ないよ、そんなん」

「そうなんや? 品揃え悪いんやねここ」


正面で所在無さげにしていたマスターの眉がピクリと動いたのが見えて少し焦る。

こんなことで行きつけの店をひとつ失いたくはない。

咳払いをひとつ挟み、不思議そうな不服そうな顔をしている大澄を制するように言い聞かせるように諭す。

「あー、あのな、スクリューパイルドライバーってめっちゃ希少なお酒やねん。仕入れられる時期とかもあるから」

「そうなん?」

「せやで。だから他の店でもおいそれと注文したらあかんで。分かったらオレンジジュースにしとけ」

「分かった。へいマスター、オレンジジュースひとつ」


ものすごいドヤ顔でバーの店長にオレンジジュースを注文する24歳女子という普段ならネタとして肴にできる光景なのだが

どうにも今はそんな気分ではなく、ホッと胸を撫で下ろすだけに終わる。

マスターはどうにも釈然としないという様子でオレンジジュースをグラスに注いでいた。ごめんマスター。

さて……


「……」

「……」


会話、なし。

なにコイツ。

自分を見たからココについて来たと言うからてっきり何か切り出したい話でもあるのかと思えば

いつも通り何を考えているか分からない目線で宙を仰いでいる。

たまにコチラとマスターを交互に見て、その後でまた宙を仰いで今度はニマニマし始めた。

なんか知らんがしばきたい。


「オレンジジュースです」

「どうもー」


目線でマスターに「すまん」と目配せすると
向こうもソレを察したのか、苦笑しながら首を横に振った。

この、だいたい自分と同年代くらいのマスターとはそろそろ半年くらいの付き合いになるだろうか。

話を聞いて欲しい時には向こうからどうかしましたか?と問いかけ、ただ黙って沈みたい時には放っておいてくれる空気の読める人物である。

最初に言ったように自分はどちらかというと居酒屋とかそういう場所の方が好きだが

それでも此処をたまに使うのはこのマスターの人柄が個人的に気に入っているからなのだ

だから、自分の隣で自分とマスターを見てなんかハアハアしてる大澄は絶対に後でしばく、と心に決めていた。



φ



両者がグラスを空にしてからゆうに30分は経過したところだろうか。

その間、一切会話なし。

マジでコイツ何しにきたんだという気持ちをいい加減抑えきれなかった。

ぶっちゃけ、藪をつついて蛇を出す予感しか無かった訳だが

それでもこのまま藪を目の前に立ち往生するのはいい加減疲れた。


「……なあ」

「うん?」

「なんか、話あるんちゃうの?」


まあ、実のところ察しがついてはいるのだ。

このタイミングで普段なら絶対に自分の後をついて回るなどということをしない大澄がわざわざこんな事をしているのは

十中八九、数時間前での事務所でのやり取りの事が原因なのだろう。

その内容までは察することは出来ないが、まあ各々が各々に言いたい事もあるだろう。

……本音を言えば、狩集にもブチまけたい本音であるとか、そういうのはある。



それは例えば社長が自分たちを騙して白金の依頼を受けていた事であったり

白金の人を人とも思わないような、異様とも言える振る舞いであったり

そして、それを自分が黙って受け入れる事しか出来なかったことであったり、だ。



ただ、それは子供染みたというか大人らしくないというか
単なる感傷にすぎないということを狩集は理解していた。

理性的であること。

それが、ボーイの仕事をこなしていた時と今の仕事の経験を得て狩集が覚えたひとつの処世術である。

仕事は仕事。割り切らなければいけない事がこの世界にはそれこそ数えきれないほどある。

まして別れさせ屋などという如何わしい仕事の実行担当班なのだ。

心のどこかでそういった線を敷かないことにはやっていられない。

例えば、今回の工作で自分がオトした西国原都環は、自分が突然連絡を断てば、決して軽くはないレベルで傷つくだろう。

まあ、見込みで言えばあの子は傷つく深度も深ければ立ち直って自らの糧を探すのも早いと見ているから

そう遠くない内に新しい相手を見つけるだろうとも思っているが。

少なくとも、自分がよくいえば理性的じゃなかった場合

悪くいえば人間らしさを持ち合わせていた場合

あの子が傷つく事を良しとしてはならないのである。

だが、仕事だから、それを良しとする。

理性的とはそういうことだ。

いちいち今回のような感傷に浸っていてはこんな仕事を続けてはいけないのである。

と、ここまで考えたところで、どうにも自分は取り返しのつかないところまでやはりねじ曲がってしまっているなと再確認する。

巻き込む形で例を挙げるなら
自分は恐らく、あの白金や名取の側に近い人種なのだろうと感じる。


自分がこんなだから、白金に向かって素直に批難の言葉を浴びせられる吊や工藤を少しだけ、ほんの少しだけなのだが羨ましく思うのだ。

あんな風になりたい、とはもう思えないけれど。


(ああ、あかんなぁ)


わかっている。堂々巡りだ。

こんな事を考え始めたところで答えなど見つからない。
そんなもの何処にもないのだから。

普段ならこんなに思い悩む事もないのだが

どうにも今日は色んな事が一気にありすぎたせいで平常の思考が出来ていない。

バカな話だ。

自分で理性的であることを選んだのに
いざソレを突きつけられたら……ショックだ、などと

そんな「優しい」気持ちは、工藤や吊にこそ相応しい

自分のような、優しくない人間にそんな感傷は今更……



ポン



何かに頭を抑えられた。

いや、抑えられたというほどの強さではない、頭の上に何か柔らかい物が乗っているといった感触だ。

ふと、自分があまりにも深い思考のループに陥っていたことを思い出して慌てて意識を揺り起こす。

するとそこには、何故かこっちを真っ直ぐに見つめて、頭を撫でてくる大澄の姿があった。


「……なに?」

「うん? 疲れたやろうなーって思って」

「……なんで?」

「狩集くん優しいから」


頭を思い切りぶん殴られたかと思った。

まるで自分が必死に隠して絶対にバレないと安心していた宝物を一瞬で掘り起こされたようなそんな感覚。

もちろん、大澄がこちらの心を読んだ等ということはありえず

タイミング的には完全に偶然だったのだろうが
それでも心臓を握られたかのような焦りに一瞬襲われる

出来るだけそれらの動揺を覆い隠し、努めて冷静に口を開いた。


「……やさしないよ」

「そうなん?じゃあ、あたしが思ってるだけなんかな」


ああもうくそ、なんだその返し。

果たしてどこまで分かって、あるいはどこまで分からずにやっているのか

それが分からないから、いつもみたいなキザったらしいクサイ返しも出来ない。

なんやねん。

疑うとか茶化すとかしろよ。でないと、誠に遺憾なことに

ーーー大澄なんかに、少し泣かされそうになってしまうではないか。


「……ぁ」


何か言おうとして、やめた。

元々、大澄と話など通じるハズはないのだ。

なら、しばらくは勝手にさせておこう。

どうやら、特に話題も話す方法も持たずに自分を探して

恐らくはコレをするためだけに入り慣れない店にまでついてきた大澄の……

コイツの言うとおり、しばらくは、やさしい人間になったつもりでいよう。


そうすれば、ほんの少し、本当にほんの少しだけだけれどーーー


「ごめんな、狩集くん」

「……訳わからん。なんで謝っとんねん」


救われる気がするから。






「ごめんな……あたしが男じゃなくて」

「いや、ソレに関してはマジでなんで謝られてんのか分からん」



fin.
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